こんにちは、たいし(プロフィールはこちら)です!
私は客先常駐の機械エンジニアとして新卒から約5年半、SES会社でITエンジニアとして3年ほど働いた経験があります。客先常駐のエンジニアというと「客先常駐はやめとけ」って意見が多くあり、あまりいい噂は聞かないですよね。ただしこう言った主張の中には、「この人客先常駐で働いたことないだろうな」ってものも結構見受けられます。
そこで今回はわりと長い期間、客先常駐エンジニアをしてきた私が体験に基づいて、ぶっちゃけどうなのか?おすすめできるのか?について紹介したいと思います。客先常駐という働き方に興味がある方、ぜひ最後まで読んでいってください!
SESはやめとけってほどではないが、特別おすすめはしない。やるなら3年くらいと、期間を決めてやるのが吉!
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SES(客先常駐)ってなに?
客先常駐は自分が所属している会社とは別の会社に出社して、別の会社(客先)で与えられた業務に従事する働き方です。IT業界では客先常駐のことをSES(System Engineering Service)と言ったりしますが、同様の意味となります。
客先と所属している会社とで合意した時間単価で契約を結び、エンジニアはそこで決められた期間働きます。期間は短期仕事の場合は1〜2ヶ月という場合もありますが、基本的に3ヶ月単位で結ばれることが多いです。3ヶ月ごとに客先とエンジニア双方に契約を継続するか確認をして、お互いに合意が取れればさらに3ヶ月延長というように契約をしていきます。
SES(客先常駐)のメリット・デメリット
実際に客先常駐エンジニアとして働いてきて、私が感じたメリット・デメリットについて以下にまとめます。
【メリット】
- 未経験でも実務経験を積みやすい
- 仕事内容を簡単に変えられる
- いろいろな開発現場を中から見ることができる
【デメリット】
- 案件ガチャ
- 人間関係が難しい
- 契約が不安定
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メリット1:未経験でも実務経験を積みやすい
SESをやっているような会社は、自社開発などをやっている会社と比較して未経験からでも入社しやすいです。SESはエンジニアを派遣して、そこからマージンをとって収益を上げるビジネスモデルです。派遣するエンジニアが多ければ多いほど収益が増えるので、入社はしやすいです。またエンジニアを受け入れる客先側としても、基本的に3ヶ月ごとに契約を延長するかどうか判断できるので多少経験が足りなくても案件参画できることがあります。
メリット2:仕事内容を簡単に変えられる
上記でも述べましたが、契約は基本的に3ヶ月ごとで延長するかどうかを選べます。そのタイミングで仕事内容に不満があったり、他にやってみたい仕事などがあれば契約を終了して案件を変えることができます。普通の会社ではこんなに簡単に仕事内容を変えることができないので、これは客先常駐エンジニアの大きな強みです。
メリット3:いろいろな開発現場を中から見ることができる
もし普通の会社員エンジニアをやっていたとしたら、自社の開発現場しか見ることができません。ただ客先常駐のエンジニアであれば、案件を変えるたびに別の開発現場を内部から見ることができます。現場ごとに行っている工夫などを実際に自分で見ることで、気づきが多くあり良い経験となります。また常に新鮮な気持ちで、業務にあたることができます。
デメリット1:案件ガチャ
案件参画前にエンジニアと客先との間でエンジニアは自分のスキルをプレゼンして、客先は作業内容について説明する面談があります。ここでエンジニアは実際の作業であったり、働き方などについて確認することができます。ただここでは口頭でのやり取りに過ぎないので、実際に案件に参画してみると思っていたのと違ったなんてことがあります。客先常駐には、こういった実際に働いてみないとわからない「案件ガチャ」と呼ばれることがありえます。
私も今までに参画してみると面談時に言われたことと違うスキルが求められたり、常に機嫌の悪い人が上司でいたりなどガチャに外れたことが幾度となくありました。ただその場合でも、3ヶ月我慢ができれば案件変更ができます。
デメリット2:人間関係が難しい
忘れられがちですが、前提として客先常駐エンジニアはお客様先でサービスを提供するサービス業です。同じ業務を行っていても自分と客先のエンジニアは他社同士なので、あまりに同僚のように仲良くしすぎるのはパワハラにもつながりかねないので違うかなと思います。逆に他社だからと他人行儀にしすぎるのも仕事を円滑に進めにくくなり、この辺りの線引きに難しさを感じます。
デメリット3:契約が不安定
基本的に3ヶ月で契約更新のため、仮に気に入ってもっと続けたいと思っている案件でも客先で価値があると思ってもらえなければ契約終了となってしまうことがあります。客先の業績不振による予算カットなど、働いているエンジニアではどうしようもないことで急に契約終了となったりする場合があります。気に入っている案件で契約が打ち切られると、結構メンタルにもダメージがあります。
【結論】SES(客先常駐)ってやめとくべき?
最初に結論から申し上げると、「やめとけってほどではないが、特別おすすめはしない。やるなら3年くらいと、期間を決めてやるのが吉」です。なぜこの結論に至ったか、細かく解説していきます。
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なぜやめとけではないのか?
私がやめとけってほどではないと考える理由として、未経験でもとりあえずエンジニアとして働ける点があります。上記メリットでも述べましたが、客先常駐であれば比較的簡単に未経験からでもエンジニアとなることができます。
未経験からのエンジニア転職の場合、まずエンジニアとして働いた経験の有無がこれからのキャリアにとても重要となります。ただ自社開発をやっているような企業は、狭き門で採用されるのが難しくまず経験を積むのが難しいです。
自社開発企業に固執して二の足を踏み続けるのは時間がもったいないので、それだったら比較的入社が容易なSES企業などに入ってとりあえず経験を積むのがおすすめです。ただ才能があって自社開発で働けるような人であれば、自社開発に入ったほうが良いと思います。
また会社の人間関係に悩まずに済むのも、おすすめポイントのひとつです。あくまで職場は他社のため無駄な飲み会や謎な会社のイベントなどを断りやすいです。いざとなったら職場を変えられると思うと、人間関係のストレスは少なく感じるかなと思います。
社内限定のイベントとかで誘われなかったりすることもあり、人によってはデメリットに感じるかもしれませんが私は楽に感じました。ちなみに派遣だからと言ってイジメられたりなんてことは、まともな会社であればないので安心してください。
なぜおすすめはしないのか?
これはできる仕事の範囲に制限があり、中級者程度でスキルが頭打ちしてしまうからです。やはり客先常駐は他社のエンジニアのため、上流の設計工程のような責任ある業務を行うことができないことが多いです。重要な仕事は社員が行い、客先常駐のエンジニアは人が代わってもできる仕事をやることが多いので、レベルもそれなりのものとなってしまうためスキルが伸び悩みが起こります。
私の体感としては最初はスキルが全くない状態のため成長を実感できていましたが、3年くらいを境に成長が鈍化を感じるようになりました。そのため3年くらいを目処に期間を決めて、転職などの次のキャリアを考えましょう。3年の実務経験があると、未経験のときの求職活動とは打って変わって多くの企業から転職のお誘いがかかると思います。
逃げるべきSES企業の特徴
前述でSES企業からキャリアを始めるのも、アリだと考えていることについてご説明いたしました。ただSES企業は当たりはずれが大きく、仮にハズレの企業に入社してしまった場合には使いつぶされてしまう可能性があります。そのため、迅速に全力で逃げ出すことをおすすめします。
ではどのようなSES企業が、ハズレの逃げ出すべき企業なのでしょうか?私がすぐに逃げ出すべきだと考えている企業は、以下のような特徴を持つ企業です。
- エンジニアの希望やスキルを無視した案件アサイン
- 経験不足のエンジニアを1人で常駐させる
- 商流が深い
- 管理体制がずさん
これらについて、解説します。
エンジニアの希望やスキルを無視した案件アサイン
ブラックなSES企業では、エンジニアの意向を全く考慮せず、経験不足を理由に本人の希望とはかけ離れた案件に配属することがあります。確かに希望する案件とスキルレベルにギャップがある場合、必ずしも希望通りにならないこともあります。しかし問題なのは希望を一切聞かず、話し合いの機会すら設けずに、強引に案件にアサインしようとするのはヤバいです。
最悪の場合、ITとは全く関係のない仕事、例えば家電量販店でのスマートフォン販売といった案件にまで配属されることがあるそうです。これではエンジニアとしてのスキルアップどころか、キャリアを大きく損なう可能性があります。
良質なSES企業であれば、エンジニアの希望やスキルレベルを考慮し、適切な案件とのマッチングを図ります。また希望通りの案件でなくても、将来のキャリアにつながるような案件を提案し、エンジニアと十分な対話を行った上で決定するはずです。
経験不足のエンジニアを1人で常駐させる
このような状況は単にプロジェクトの質を低下させるだけでなく、エンジニア個人にとっても深刻な影響をもたらす可能性があります。過度のストレスや責任の重圧により、最悪の場合、メンタルヘルスの問題を引き起こす危険性があります。
さらに悪質なケースでは会社の指示によってエンジニアの経歴を偽装し、実際のスキルよりも高度な案件にアサインすることがあると聞いたことがあります。これは倫理的に問題があるだけでなく、エンジニアと顧客の双方に不利益をもたらします。
経験不足のエンジニアを単独で困難な案件に投入したり、スキルを偽装したりする企業からは、迷わず距離を置くべきです。このような環境では、健全なキャリア形成は望めません。エンジニアの成長を真摯にサポートし、適切な案件配置を行う企業を選ぶことが、長期的なキャリアの成功につながります。
商流が深い
商流が深いことで、以下のような問題が発生します。
- エンジニアの収入低下
多くの中間業者が介在すると、それぞれが利益を取るため、最終的にエンジニアに支払われる報酬が大幅に減少します。つまり、あなたの労働の対価が適切に還元されない可能性が高くなります。 - 指揮命令系統の不明確さ
中間業者が多いと、誰が実際の指揮命令者なのかが不明確になりがちです。これは業務の効率を下げるだけでなく、責任の所在も曖昧になり、エンジニアが不利な立場に置かれる可能性があります。 - コミュニケーションの複雑化
情報が多くの業者を経由するため、重要な情報が正確に伝わらなかったり、遅延したりする危険性があります。これは、プロジェクトの質と効率性に悪影響を及ぼします。
注意すべき点として、一部のSES企業は「エンド直案件多数」といった宣伝文句を使用しますが、実際にはそれが全体の一部に過ぎず、大半が商流の深い案件であることがあります。自身のキャリアと収入を守るために、このような商流の深さに注意を払う必要があります。適切な報酬を受け取り、明確な指示系統のもとで効率的に働ける環境を選ぶことが、長期的なキャリアの成功につながります。
管理体制がずさん
案件にアサインされた後、長期間にわたってほとんど連絡がないケースがあります。ひどいと3ヶ月に一度の、案件継続の確認以外にコンタクトが会社からないこともあります。
またエンジニアからの相談や要望に対して、適切に対応しないケースが多々あります。例えば案件に関する相談や案件変更の要請をしても、真剣に取り合わず軽く流されるような対応をされることがあります。
自身のキャリアと職場環境を守るために、このようなずさんな管理体制の企業には注意が必要です。相談や要望が適切に扱われず、キャリアの停滞を感じるような環境であれば、躊躇せずに転職を考えても良いかと思います。
SES(客先常駐)がおすすめな人
最後にどういう人が、客先常駐のエンジニアとして働いてみるのがおすすめなのかについてまとめます。
- 未経験からエンジニアを目指したい人
- やりたいことがはっきりと決まっていない人
- 将来フリーランスエンジニアになりたい人
まず未経験からエンジニアになりたい人は、SES企業に入るというのはエンジニアになる再現性が高い万人におすすめできる方法です。またやりたいことがはっきり定まってないのであれば、客先常駐エンジニアとしていろんな現場で、実際に業務を通してキャリアを決めるのも良い方法だと思います。
将来フリーランスエンジニアとして働いてみたい人にも、一度SES企業を経験してみるのはおすすめです。SES企業に入社してからの働き方とフリーランスエンジニアとしての働き方は似ているので、ここの切り替えをスムーズに行うことができます。このパターンでフリーランスエンジニアになる人は多く、私もこの方法でフリーランスエンジニアとなりました。
まとめ
これから客先常駐をやってみようか迷われている方に向けて、私が客先常駐エンジニアとして働いてみて感じたことをまとめてみました。よく「客先常駐はやめておけ」なんて意見をよく見ますし、たしかに嫌な思いをしたことも今までにありました。
ただエンジニアになるため、再現性の高い方法でもあります。今まで経験してきたことをこの記事に込めたので、これからのキャリアをお考えの方に参考になると幸いです。
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